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<レビュー>森見登美彦著作の『夜は短し歩けよ乙女』星野源主演・湯浅政明監督によりアニメ映画化


第20回山本周五郎賞受賞、並びに2007年本屋大賞2位に選ばれ、累計売上150万部を超えるベストセラー、森見登美彦著作の『夜は短し歩けよ乙女』(角川文庫刊)がアニメーション映画化され、現在大ヒット上映中だ。



© 森見登美彦・KADOKAWA/ナカメの会

京都を舞台に描かれる、どこかファンタジックな青春恋愛物語である本作は、大学生が選ぶ本第1位に選ばれ続けるなど、森見登美彦作品の中でも最もファンの多い作品の一つで、満を持しての映像化となった。

主人公の“先輩”を演じるのは、星野源。“先輩”が思いを寄せるヒロイン“黒髪の乙女”には花澤香菜、“先輩”の学友である“学園祭事務局長”に神谷浩史、そして“先輩”の学友“パンツ総番長”にロバートの秋山竜次など多彩な超豪華キャストが実現している。

監督は、本作と同じく森見登美彦原作で今までも多くの熱狂的ファンを持つ『四畳半神話大系』(2010)の湯浅政明監督。そして脚本の上田誠(ヨーロッパ企画)、キャラクター原案の中村祐介、さらに主題歌をAZIAN KUNG-FU GENERATIONという『四畳半神話大系』と同じ夢のクリエイター陣が再集結した。


© 森見登美彦・KADOKAWA/ナカメの会

冒頭、独特なアニメーションのタッチにドキッとさせられるが、京都と文学をこよなく愛する人にはたまらない作品だと思われる。本来このオムニバスは、原作では別の日の出来事として描かれているが、本作では一夜の出来事となっている。これは湯浅監督の演出によるものだが、だからこそ最後のシーンの“先輩”と“乙女”の台詞が活きてくるのだろう。

湯浅監督いわく、この作品=一夜で“先輩”が勇気を持つストーリーとなっているとのことだが、“乙女”が早くも歩き続け、(私としては某国立大を思い出す)大学の学園祭にたどり着く。ちょっと古めかしいコスチュームの出演者も多く、時代設定が不明なのがユニークだが、大学生が選ぶ本第1位に選ばれ続けるのは、「大学」そのものが持つ独特のノスタルジックな雰囲気のせいかもしれない。そして、夜の世界は膨張したりゆがんだり。お酒のせいもあるかもしれない。


© 森見登美彦・KADOKAWA/ナカメの会

“乙女”は、“先輩”にとっては手の届かない存在に思えるが、“乙女”にとって“先輩”も特別な存在になっていくような気がする。意外と他人の評価は自分のものとは違っていることも多いのが常。

この作品のワールドに浸かって、是非特別な一夜の思い出を作ってほしい。


【STORY】

クラブの後輩である“黒髪の乙女”に思いを寄せる“先輩”は今日も『なるべく彼女の目にとまる』ようナカメ作戦を実行する。春の先斗町で、夏の古本市で、秋の学園祭で、乙女に近づこうとやっきになるも、空回りの連続。
京都の街で、個性豊かな仲間達が次々に巻き起こす珍事件に巻き込まれながら、不思議な夜がどんどん更けてゆく。外堀を埋めることしかできない“先輩”の思いはどこへ向かうのか!?


【作品情報】

キャスト:
星野 源、花澤香奈、神谷浩史、秋山竜次(ロバート)、中井和哉、甲斐田裕子、吉野裕行、
新妻聖子、諏訪部順一、悠木 碧、檜山修之、山路和弘、麦人

原作:
森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』(角川文庫刊)

監督:湯浅政明

脚本:上田誠(ヨーロッパ企画)
キャラクター原案:中村佑介

音楽:大島ミチル
主題歌:ASIAN KUNG-FU GENERATION

制作:サイエンス SARU
製作:ナカメの会
配給:東宝映像事業部

公式サイト:kurokaminootome.com


© 森見登美彦・KADOKAWA/ナカメの会
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