<レビュー> 引きこもり侍が挑む、城ごと引っ越しプロジェクト!映画『引っ越し大名!』
江戸時代の姫路藩。書庫にこもって本を読んでばかりの引きこもり侍・片桐春之介は、突然【引っ越し奉行】に任命される。原作・脚本:土橋章宏×監督:犬童一心×主演:星野源で描く『引っ越し大名!』の作品情報とレビューをお届けする。

ⓒ2019「引っ越し大名!」製作委員会
本作で採り上げる“引っ越し奉行”とは、すべての藩士とその家族全員で別の国に引っ越し(国替え)をする際の総責任者である。当時の引っ越しは、参勤交代を遥かに上回る費用と労力がかかり、前任者もあまりの激務に亡くなってしまうほど。「失敗すれば、即、切腹」という状況の中、全くノウハウのない、書庫にこもって本を読んでばかりの引きこもり侍・片桐春之介は、果たして国の存亡をかけた超難関プロジェクトをクリアできるのか!?引きこもり侍、一世一代の大挑戦が今始まる!というのがストーリーだ。

ⓒ2019「引っ越し大名!」製作委員会
原作は『超高速!参勤交代』シリーズで、これまでになかったユニークな視点で時代劇の新しいジャンルを開拓した土橋章宏原作の傑作時代小説「引っ越し大名三千里」。実在した大名のエピソードをもとにした原作を『のぼうの城』の犬童一心監督が手掛け、主演・星野源、共演に高橋一生、高畑充希、及川光博、小澤征悦、濱田岳、西村まさ彦、松重豊ら超豪華キャストが集結した。
キャスト・スタッフが総力をあげて取り組み、「引っ越しは戦でござる!」をキャッチコピーに、日本を盛り上げる笑いと感動の映画となっている。

ⓒ2019「引っ越し大名!」製作委員会
本作を劇場で拝見したが、冒頭から“引っ越し”をする当時の武士たちの姿がコミカルにも真剣にも描かれていて楽しめる。星野源演じる引っ越し奉行が、周りの人々に助けられ、また、“書物”から知恵を借りて引っ越しを行う姿を描いており、そこにも面白みを感じる。ラストはこの引っ越しで自身の行く末を変えられた武士たちの思いが伝わる場面もあり、劇場で泣く観客もいた。是非、ラストまでゆっくりと本作の世界観を味わってほしい。
(編集 木下奈々子)
【ストーリー】
姫路藩の書庫番、片桐春之介(星野源)は、人と話すのが苦手でいつも書庫にこもりっきり、周囲から「かたつむり」とあだ名で呼ばれている引きこもり侍。あるとき、藩主の松平直矩(なおのり)(及川光博)は、幕府から国替え(引っ越し)を言い渡される。行先は遠く離れた豊後(大分県)の日田。すべての藩士とその家族全員で1万人の引っ越しという、参勤交代をはるかに上回る費用と労力が必要な一大事業。これを成し遂げるには、引っ越し奉行の手腕にかかっている。お国最大のピンチに、いつも本ばかり読んでいるのだから引っ越しの知識があるだろうと、春之介に白羽の矢が立つことに。国替えの減封による人減らし。無理難題とも言える大役に怖気づく春之介だったが、幼馴染で武芸の達人・鷹村源右衛門(高橋一生)の説得もあり、嫌々引き受ける羽目になる。しかし、引っ越しの経験がない春之介は、どこから手をつけて良いか見当がつかない。そこで、前任の引っ越し奉行の娘である於蘭(高畑充希)に助けを借りることに。こうして源右衛門たち仲間の協力や於蘭の厳しい引っ越し指南に助けられて引っ越しの準備が始まった!果たして春之介はこの一世一代のプロジェクトを知恵と工夫で無事に成し遂げ、国を救うことができるのだろうか?!
ⓒ2019「引っ越し大名!」製作委員会
【作品情報】
『引っ越し大名!』
監督:犬童一心
原作・脚本:土橋章宏「引っ越し大名三千里」(ハルキ文庫刊)
出演:
星野源 高橋一生 高畑充希 小澤征悦、濱田岳、西村まさ彦、松重豊、及川光博 ほか
主題歌:ユニコーン「でんでん」
作詞:川西幸一/奥田民生
作曲:奥田民生(Ki/oon Music)
配給:松竹
<公開中>
公式サイト:http://hikkoshi-movie.jp
公式Twitter: @hikkoshi_movie