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<レビュー>「あの人、お父さんじゃありません。全然知らない人です」—黒沢清監督作品・映画 『クリーピー 偽りの隣人』 6.18公開


「あの人、お父さんじゃありません。全然知らない人です」
未解決の一家失踪事件 × 奇妙な隣人家族--犯罪心理学者が迷い込んだ2つの≪謎≫

第15回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した前川裕の原作小説をカンヌ国際映画祭「ある視点」部門監督賞受賞の名匠・黒沢清監督が豪華キャストで映画化!


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(C)2016「クリーピー」製作委員会

近所付き合いが希薄になった現代、誰の身にも起こりえる、日常に忍び寄る悪意を描く本作。第15回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、作家・綾辻行人も「展開の予想できない実に気味の悪い(クリーピーな)物語」と絶賛した前川裕の原作小説「クリーピー」が、西島秀俊、竹内結子、香川照之ら豪華俳優陣により映画化された。

監督はカンヌ国際映画祭「ある視点」部門監督賞受賞の名匠・黒沢清。ある夫婦が“奇妙な隣人”への疑惑と不安から、深い闇へと引きずり込まれていく圧倒的な恐怖を描く。

本年度ベルリン国際映画祭や香港国際映画祭への正式出品され、世界から注目を集める衝撃のサスペンス・スリラーが、遂に幕を開ける!

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(C)2016「クリーピー」製作委員会

【STORY】

犯罪心理学者の高倉は、刑事・野上から6年前に起きた一家失踪事件の分析を頼まれる。しかし事件唯一の生き残りである長女・早紀の記憶をたどるも、核心にはたどりつけずにいた。

一方、高倉が愛する妻・康子と共に最近引っ越した新居の隣人は、どこか奇妙な家族だった。病弱な妻と中学生の娘・澪をもつ主人・西野との何気ない会話に翻弄され、困惑する高倉夫妻。

そしてある日、澪が告げた言葉に、高倉は驚愕する。
「あの人、お父さんじゃありません。全然知らない人です」

未解決の一家失踪事件と、隣人一家の不可解な関係。二つの繋がりに高倉が気付いた時、康子の身に【深い闇】が迫っていた…。

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(C)2016「クリーピー」製作委員会

【REVIEW】

人それぞれに備わっている「感覚」。
過去の経験や、それまでに学んだ事・モラルで形成された、人それぞれに備わる「常識」や「感性」ともいえると思う。

それがこの映画を観ていると、圧倒的な台詞の力と俳優陣の演技で構成された映像で、バランスが崩れていく瞬間があった。殺人事件という恐怖より、“隣人”をテーマに「当たり前」だと思っていた物事がふと崩れていく瞬間を目の当たりにする、「クリーピー」という物語の展開に驚愕した。

「これが犯人にとっては当たり前なのか」とも思える台詞回しに、作中でバランスを失っていく登場人物と同じような感覚になる。主人公が思わず口にしてしまう「面白い」という犯罪心理に対する言葉。確かに本作も「面白い」のだが、思い起こせば「実に気味の悪い(クリーピーな)物語」であり、この緊張感を成立させた監督の力量がすばらしい。

是非、劇場で感覚がふわっとバランスを崩す瞬間を目の当たりにしてほしい。


【作品情報】

出演:
西島秀俊 竹内結子 川口春奈 東出昌大 香川照之 / 藤野涼子 戸田昌宏 馬場 徹 最所美咲 笹野高史

監督:黒沢清

原作:「クリーピー」前川 裕(光文社文庫刊)

脚本:黒沢 清、池田千尋
音楽:羽深由理

製作:「クリーピー」製作委員会
制作:松竹撮影所
配給:松竹、アスミック・エース

公式サイト:creepy-movie.com

【全国公開中】

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(C)2016「クリーピー」製作委員会
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