<レビュー>『借りぐらしのアリエッティ』
人間に見られてはいけない。
待望のスタジオジブリ最新作。原作はイギリスの児童文学「床下の小人たち」で、本作を40年以上前に読んだ宮崎駿監督が企画・脚本を務めている。
舞台をイギリスから現代の日本へ移し、14歳の小人の少女と12歳の人間の少年の出会いと別れを、スタジオジブリ史上最年少の米林宏昌監督がみずみずしく描きだす。
【2010年公開作品 】
(C)2010 GNDHDDTW
【STORY】
「ぼくは、あの年の夏、母の育った古い屋敷で、一週間だけ過ごしたそこでぼくは母の言っていた小人の少女に出会った――
人間には見られてはいけない
それが床下の小人たちの掟だった」
【CHARACTER】
ARRIETTY (アリエッティ:志田未来)
14歳の小人の少女。ある古い屋敷の床下で、父と母と3人で暮らす
SHO(翔:神木隆之介)
12歳の人間の少年。母の育った古い屋敷に病気療養でやってくる。
(左)HOMERRY(ホミリー:大竹しのぶ) / (中央)POD(ポッド:三浦友和)
アリエッティの両親
一家の家事を切り盛りする母と、生活に必要なモノを得るために、床上に住む人間の家に借りに出かける父。
【REVIEW】
スタジオジブリさんの最新作として、この夏注目の、みずみずしい作品。原作も話題になっていますが、舞台は、企画/脚本の宮崎 駿さんの案で、小金井あたりの緑に囲まれた、一軒家。
小人の世界が、床下に広がり、どんな歴史をもって作り上げられたのだろうと考えてしまう、アリエッティ一家の「借りぐらし」の住まい。ファンタジーでありながら、リアリティのある今回の世界観は、圧倒的な、美しさとやさしさ、あたたかみのある家具や緑で彩られています。
今回、小人と人間の気持ちの通い合いと、人間に姿を見られてはいけない小人の「掟」という、相反する気持ちのゆれが、切なくもあり、尊くもあり、「小人」・「人間」それぞれの種族の存続という側面からも、テーマが描かれており、それでいて、圧倒的な美しいアニメーション、「ジブリ世界」にひたり、きゅっと胸をつかれる場面も多く、涙も自然にあふれてくるという、不思議な感覚にいざなわれる気がします。
主題歌などの音楽は、セシル・コルベルさんが担当していますが、その曲調が、アリエッティの世界をよりいっそう深めています。日本語で歌う、主題歌は、映画のラストでアレンジされており、これからのアリエッティたち一家の将来を思わせる力強さがあります。
まずは劇場で、ご覧ください。きっと、家族や身の周りの誰か、そして何かを大切にしたいという気持ちになると思います。
2010/07/15
【作品情報】
アリエッティ:志田未来
翔:神木隆之介
ホミリー:大竹しのぶ
貞子:竹下景子
ポッド:三浦友和
ハル:樹木希林
企画/脚本:宮崎 駿
原作:メアリー・ノートン「床下の小人たち」(林 容吉訳/岩波少年文庫刊)
脚本:丹羽圭子監督:米林宏昌
主題歌:セシル・コルベル「Arrietty’s Song」(ヤマハミュージックコミュニケーションズ/徳間ジャパンコミュニケーションズ)
製作:スタジオジブリ/日本テレビ/電通/博報堂DYMP/ディズニー/三菱商事/東宝/ワイルドバンチ
(C)2010 GNDHDDTW
※ 情報は掲載当時のものです。