<レビュー>1986年のテレビドラマ放送開始から30年。映画『さらば あぶない刑事』大ヒット!
刑事ドラマのバディものの原点である『あぶない刑事』 —1986年のテレビドラマ放送開始から30年、放送当時最高視聴率26.4パーセントを記録し、当初半年の放送予定が、あまりの人気に1年に延長されるなど社会現象にもなった伝説的な国民ドラマ。そして「最後にもう一度タカとユージを観たい」と、本作の企画がスタート。映画化としての前作『まだまだあぶない刑事』以来10年ぶり、第7弾となる本作『さらば あぶない刑事』の魅力に迫る。

ⓒ 2016「さらば あぶない刑事」製作委員会/2月10日実施 大ヒット御礼舞台挨拶
女性に優しく悪を許さぬタカことダンディー鷹山、弱いものを見れば放っておけない正義漢ユージことセクシー大下。2人が犯罪を追い、暴れまくり、軽妙なトークと激しいアクションで繰り広げる伝説のシリーズ「あぶデカ」が遂に本当のラストを迎えるのか。
刑事ドラマのバディものの原点である『あぶない刑事』主演の舘ひろし・柴田恭兵の人気ぶりは圧倒的で、当時ロケ地である横浜に人が溢れかえり、ロケ隊が数百人のファンに囲まれて撮影が中止になることもあったという。そして本作、10年ぶりとは思えぬ、主演の二人のダンディー&セクシーさは色あせない。2人が撮影現場に入り「タカ」「ユージ」と呼び合ったときは、まさに伝説が帰ってきた瞬間。クランクインからアップまで、全力疾走で駆け抜けた51日間は、2人にとってだけでなくキャスト・スタッフ全員が伝説とともに生きた至福の時間であったという。

ⓒ 2016「さらば あぶない刑事」製作委員会
さらに、カオルちゃんこと浅野温子、町田透役の仲村トオルも役柄の上での10年ぶりの変化と成長を見せつつも、抜群のコンビネーション。小林稔侍、木の実ナナ、ベンガル、山西道広、伊藤洋三郎、長谷部香苗ら、懐かしの港署キャストたちも全員がそろい踏み、変わらぬ息のあった演技を見せた。また本作のゲストとして、スクリーンに華を添えるヒロインに抜擢されたのは実力派女優として活躍している菜々緒。定年退職まであと5日となった二人に立ちはだかるのは、横浜を牛耳ろうとする凶悪な中南米マフィア。シリーズ最強最悪の敵が現れる。
2012年のDVDマガジンの累計販売数120万部突破も受け、製作されたという本作。熱い思いで「あぶデカ」を待っているファンのみならず、若い世代も本作の豪快かつ軽妙なアクション、俳優陣のダンディーさは必見といえる。

ⓒ 2016「さらば あぶない刑事」製作委員会
【STORY】
横浜港署捜査課刑事のタカこと鷹山敏樹(舘ひろし)とユージこと大下勇次(柴田恭兵)は、定年退職が5日後に迫っていた。横浜港署捜査課の課長となった町田透(仲村トオル)の「定年前は殉職率が高いので、センパイたちには無事に退職してほしいんですよ!」という心配をよそに、タカとユージは銀星会の残党で今は新興のヤクザ闘竜会の幹部となっている伊能を追ってブラックマーケットを二人だけで襲撃したりとまだまだ暴れ放題!一方、元少年課で今や神奈川県警重要物保管所所長の真山薫(浅野温子)は、IT企業の社長と「遂に結婚が決まったのよ!」と大はしゃぎしている。
そんな中、伊能が惨殺死体となって発見される。ロシア、韓国、中国、各国マフィアが入り乱れ、危険ドラッグや拳銃、あらゆる非合法の物が売買される巨大なブラックマーケットを仕切っていた伊能が殺されたことで、マフィアたちの危うい均衡も崩れ始める。そこでタカとユージが嗅ぎつけたのは、キョウイチ・ガルシア(吉川晃司)と彼が率いる中南米の犯罪組織BOB。あらゆる犯罪に手を染め、死もを恐れぬ圧倒的な戦闘力と獰猛さで抗争相手を屈服、壊滅させてきたBOBが日本、ヨコハマに進出してきたのだ。BOBと横浜中の犯罪組織を巻き込んで、刑事人生最後となる死闘に飛び込んでいくのだった。刑事としてのタイムリミットはあと1日、果たして二人は無事に退職の日を迎えることができるのか?

ⓒ 2016「さらば あぶない刑事」製作委員会/2月10日実施 大ヒット御礼舞台挨拶
【REVIEW】
映画を見ているときに、どんどん昔テレビで見ていた本シリーズを思い出していく。また、今回の映画のPRで舘ひろしさんが銃を構えるときに左腕を胸に添えるポーズを「なんとなくこうなった」と話していたのを、実際に画面で観ると「これか!」とワクワクする。テレビのドラマシリーズから、どんどん「あぶなく」なっていく映画化のタイトルを思い起こし、今回は「さらば」と来たので、「シリーズの完結編か」と思った矢先、「定年退職まであと数日」「殉職しないでください」などの設定。これには驚きを隠せなかった。なんせ不死身に近いふたりのイメージと、柴田恭兵さんの「いつかまた(この役を)やると思ってトレーニングしていた」とおっしゃるだけあっての、軽快かつスピード感ある走りっぷりには、「速すぎる!」と感情移入(?)してしまう。そしてシリーズ最強の敵のあの方の存在感は画面が凍り付くほどで、両手で銃を撃ちまくるシーンにはしびれておりました。とにかく手加減なしの本作。是非劇場で楽しんでほしい。エンドロールも必見です。(文・木下奈々子)

ⓒ 2016「さらば あぶない刑事」製作委員会
【作品情報】
出演:
舘ひろし、柴田恭兵、浅野温子、仲村トオル、吉川晃司、菜々緒、
木の実ナナ、小林稔待、ベンガル、山西道広、伊藤洋三郎、長谷部香苗、
夕輝壽太、吉沢亮、入江甚儀、片桐竜次
監督:村川透
脚本:柏原寛司
撮影:仙元誠三
音楽:安部潤
アクション監督:高瀬将嗣
製作総指揮:黒澤満
【全国公開中】