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<レビュー>映画『3月のライオン』後編/【前編】大ヒット公開中 【後編】4月22日(土)2部作連続・全国ロードショー


羽海野チカが、2007年から青年コミック誌「ヤングアニマル」(白泉社)にて連載を開始し、17歳の将棋のプロ棋士を主人公として描く、ベストセラーコミック「3月のライオン」。神木隆之介主演で映画化された『3月のライオン』(前編公開中)は、4月22日に【後編】が公開される。



© 2017映画「3月のライオン」製作委員会

中学生でプロ棋士としてデビューした桐山零<神木隆之介>は、東京の下町に一人で暮らしている。幼い頃に交通事故で家族を失い、父の友人である棋士の幸田に引き取られたが、ある事情から家を出るしかなかったからだ。
深い孤独を抱えてすがりつくように将棋を指し続けていたある日、零は近隣の町に住む川本家の3姉妹と出会い、彼女たちとのにぎやかな食卓に居場所を見出していく。温かな支えを胸に、闘いへと飛び込む零。それは、様々な人生を背負った棋士たちが、頭脳と肉体と精神のすべてを賭ける壮絶な闘いだった……。


© 2017映画「3月のライオン」製作委員会

4月22日に公開される【後編】では、ある事件が川本家を襲い、さらに3姉妹を捨てた父親が現れ、耳を疑う要求を突き付ける。一方、幸田家も親子の対立から崩壊へと向かっていく。大切な人たちを守るため、強くなるしかない。新たな決意のもと最高峰を決める獅子王戦トーナメントに挑む零。トップには、将棋の神の子と恐れられる宗谷名人が待ち受けていた。


© 2017映画「3月のライオン」製作委員会

桐山零と彼をめぐる人々が、愛を求めて迷い、ためらい、ひるみながらも、それぞれの闘いへと突き進む【後編】。嵐の季節をくぐり抜けた者たちに、暖かな春は、きっと訪れる─すべての人の魂が共感・共鳴する豊かな物語となっている。原作は現在も連載中のため、映画は誰も知らない最終章へと突入。羽海野チカが考えていた結末を受け取り、大友監督が紡ぎ出したラストとは─?


© 2017映画「3月のライオン」製作委員会

大友監督が前編の初日に(後編を迎えて)「最後に、桐山零に“おめでとう”と言う気持ちを、皆で共有したい」と話していたのが記憶に残っている。「子供の頃からプロだった」というプロフィールが重なることが大きかったという零のキャスティングだったそうだが、大友監督の口から「神木君」とプロデューサーに伝えたという。

後編は、「闘い」の前編と比較して、川本家の家庭環境や学校での生活も描いていく違いがあるのだが、将棋をすることでひとりで生計を立てている零が他の人のために将棋をしようとする姿も描かれている。

将棋のプロとして前を向く中で自身を追い込む零が、先を読みながら駒から指を離した瞬間に流れが変わる将棋のダイナミズムが観ている観客に伝わってくる。そして、川本家の父親に向かっていく零は、家族の一員のように戦っていた。ただ、すべてを受け入れてもらっていたか自信を失うシーンがある。


© 2017映画「3月のライオン」製作委員会

そこから本当に「将棋しかない」と突き進む中で、春の変化が訪れる。3月はライオンのように荒々しい気候で始まり、子羊のように穏やかに終わる─「春の訪れ」を表す英国のことわざだ。

観終わった瞬間、心のつかえがすっと消えるのを私は感じた。春は誰にでも来るし、同じ状況で変わらないものはないのだろうと思う。一年に一度の春も、人生での春も。そんな晴れやかな気分で劇場を後にしてほしい。

(文・編集 木下奈々子)


【前編】大ヒット公開中 【後編】4月22日(土)2部作連続・全国ロードショー

配給:東宝=アスミック・エース
公式サイトURL:http://3lion-movie.com


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