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『DOG×POLICE 純白の絆』/佐藤貴博 プロデューサー&豊田幸弘 プロデューサー


全国東宝系で2011年に公開された映画『DOG×POLICE 純白の絆』。今回は誌上インタビュー形式で、企画プロデュースを担当する佐藤さんと宣伝プロデューサーの豊田さんのお話を伺いました。

INTRODUCTION

純粋無垢なる勇作とシロの友情
正義を求める人間たちの勇気とプライド
魅かれあう勇作と夏希の人間ドラマ
市原隼人ほか若手実力派の熱き競演

「デスノート」「GANTZ」のプロデューサーが挑む
映画オリジナルのエンターテイメント超大作、遂に誕生!!

【DVD&Blu-ray 発売中】

(C)2011「DOG×POLICE」FILM PARTNERS
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COMMENT

「252」の原作者でもある小森陽一が取材を重ねていたネタとして、「警備犬」があった。「警察犬」とは異なり、「警備犬」は装備であり、人間の盾にならなければならない。この命題には大きなドラマがある。映画「252 生存者あり」のエピソードゼロとして制作放送されたスペシャルドラマで、市原隼人が演じた早川勇作と、この「警備犬」を掛け合わせてみたら凄いドラマが生まれるはず。そこからこの映画は始まった。

感動的ないわゆる“動物モノ”の枠を超える、純粋無垢なる存在と人間のバディーストーリーとして、疾走感のあるエンターテイメントを目指す。幅広い世代が楽しめる、全く新しい警察ストーリーがここに誕生する。

(C)2011「DOG×POLICE」FILM PARTNERS
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STORY

犯罪者に対して天性の鋭い嗅覚を持つ優秀な警察官早川勇作。彼が異動になった先は、警備犬の訓練所である警視庁警備部警備二課装備第四係であった。

ある日彼は、優秀な警察犬の血を引きながらも劣性遺伝で生まれたために警備犬への道を閉ざされてしまったアルビノの犬、シロに出会う。勇作は、警備犬へと育成しようと、シロに情熱と愛情を注ぎ、シロもその才能を開花させていく。
しかし、警備犬は「装備」にしか過ぎず、もしもの時は人間の楯になることを要求される。勇作は女性警官水野夏希とともにその命題に立ち向かう。そんな中、警視庁を震撼させる連続爆破事件が発生する。若きハンドラーと警備犬の、永遠に残る伝説が今、幕を開ける――。

(C)2011「DOG×POLICE」FILM PARTNERS
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INTERVIEW

■ 『252 生存者あり』 「252 生存者あり episode 0」そして本作『DOG×POLICE 純白の絆』と拝見してきましたが、スケールの大きな作品の流れと共に、人間味のある出演者たちと、警備犬たちのストーリーが展開されており、「警備犬」の背景もふくめ、印象的な映画でした。本作に関する10の質問を、Web上にて2人のプロデューサーの方々にご回答いただきました。


まず、映画本編の企画や製作に関する部分については、本作の企画プロデュースを担当する、佐藤貴博さんにお答えいただきます。

Q1.まず、『252 生存者あり』からの流れを汲むと思いますが、誕生秘話を教えてください。市原隼人さん主演のドラマ「252 生存者あり episode 0」の流れとして、お話は続編となるのでしょうか。

『252生存者あり』を企画製作している時から、原案の小森さんからは“警備犬”の話は聞かされていて、映画化の打合せは繰り返していました。その時『252生存者ありepisode.ZERO』の主人公・早川勇作があまりに魅力的だったので、このキャラクターと警備犬のストーリーを掛け合わせたら凄い映画になるのではないか?と僕から小森さんに提案し、この「DOG×POLICE」が始まりました。

「252生存者ありepisode.ZERO」の早川勇作とは名前と性格は一緒ですが、お話としては全く違う別次元のものです。その昔、水谷豊さん主演の学園ドラマ「熱中時代」というのがありました。あれも「熱中時代 刑事編」という、水谷豊さん主演でキャラクターは一緒だけれども、職業が教師から刑事に変っているというのがあり、あの変化が大好きだったので、市原隼人君のハマり役とも言える早川勇作でやってみようと思いたちました。(佐藤)

ー警察学校時代の戸田恵梨香さん演じる水野夏希の、飲み比べのシーンがありましたが、そこに伏線はありますか?

飲み比べのシーンに「252生存者ありepisode.ZERO」などとのつながりはありません。あのシーンは、水野と早川が実は同期であること、ちゃんと早川は水野を見ていたこと、そして完璧な水野にも人間くさい一面があることを描きたかったシーンです。(佐藤)

(C)2011「DOG×POLICE」FILM PARTNERS
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Q2. 企画として、バディーの相手として「警察犬」ではなく、「警備犬」を選んだ背景などありますか?

事件が起きた後に捜査支援をする「警察犬」とは違い、事件を未然に防ぐ「警備犬」は、災害時の人命救助や爆弾検索などともに、人間を制圧するという相反する能力を同時に持っているところがドラマティックであり、人間の盾になることもあるという警備犬は、「相棒=バディ」の絆というテーマを描きだす上で、最高の素材だと思いました。(佐藤)

「シロ」は本当の名前もシロのようですが、市原さんとシロの相性は、撮影中はいかがでしたか?ちなみに、「シロ」の役名は本名から採用されたのでしょうか。

市原クンは撮影の2ヶ月前からシロのところに通い、一緒に訓練を続けてくれました。またシロに撮影現場が楽しい場所、安全な場所であると思ってもらえるように、撮影中の空き時間もずっとシロと一緒に過ごし、遊んであげていました。そこで築かれた絆は強く、キャンペーンでまたシロと一緒のことが多いですが、市原君の声が聞こえるだけでシロははしゃぎだすほどです。市原君もシロを愛していますので、相思相愛といえます。

シロは、この映画のために本作のドッグトレーナーである鈴木さんが全国を探し回って見つけてくれた子です。まだ生後10ヶ月だった子犬を鈴木さんがもらいうけて、映画と同じ“シロ”と名づけて飼育訓練を始めたのです。数々の警察犬を育て上げてきた鈴木さんですが、鈴木さんにとってもシロは特別な存在で、撮影が終わった現在は鈴木さんの自宅で穏やかに暮らしています。

いろんな方はシロの里親を希望しましたが、鈴木さんは「シロと相思相愛の市原さん以外には渡さない」と強く思っていて、市原君もシロを飼おうと本気で考えたのですが自宅が大型犬不可のため泣く泣くあきらめたという経緯があります。(佐藤)

(C)2011「DOG×POLICE」FILM PARTNERS
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Q3. 爆破のシーンが壮絶でしたが、本当の爆破にこだわったそうですか、現場はいかがだったのでしょうか。すごく「炎」がリアルだったのを記憶しています。

人間と犬の絆を描く本作。犬はリアルな存在であり、そこに芝居は存在しません。なので市原君を始めキャストは、劇中どおり犬たちと常にコミニュケーションをとって本物の絆を築いてくれました。そんな犬と人間の生々しいドラマが軸となる作品なので、それ以外の部分も可能な限り本物にこだわろうと製作を進めました。監督もCGに頼るのではなく、本物の爆破や炎上にこだわりました。それはもちろん本物ならではの迫力があるからと、実際の炎を前にすることで役者たちのお芝居もよりリアルになると思い実践しました。結果、迫真の素晴らしいシーンの数々が映し出されていると思います。

現場はかなり大変ではありました(笑)。冒頭の爆破は全国の実際に稼動しているショッピングモールをあたって、唯一広島のクレドパセーラだけがオッケーしてくれました。広島県警の協力もあり、8車線道路を封鎖しての一発勝負での撮影。あの一発に2000万円以上かかりましたが、大迫力のシーンが撮影できたと思います。地下鉄も西武線の協力により、本物の改札、ホーム、線路上での撮影が実施できました。地下鉄のホームや線路上を犬が疾走するのは史上初のことでした。クライマックスの大炎上も、栃木県の大谷石採石場の巨大な地下空間で、実際に大炎上、大爆破をさせて撮影しました。キャストもスタッフも顔も耳も鼻の中も真っ黒になって撮影しました。シロも灰色になってましたね笑 (佐藤)

(C)2011「DOG×POLICE」FILM PARTNERS
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ここから宣伝面のお話を本作の宣伝プロデューサーの豊田幸弘さんにお答えいただきます。


Q4. TV・雑誌など、媒体に露出が多い気がしますが、何か意識したことはありますか?ファッション誌で市原さんのスーツ姿をお見かけしたのが印象的だったのですが・・・。

主役の市原隼人さん、そしてヒロインの戸田恵梨香さんともに、今回は、役柄のすこし大人のかっこよさを出していくことをパブリシティチームも意識してくれました。それが、市原さんのスーツ姿などにつながっているのでしょう。(豊田)

Q5. 宣伝プロデューサーとは、主にどういった役割を担っているのでしょうか。

宣伝全体の企画、立案、ポスターや予告篇、テレビCMの制作などを、作品のプロデューサーと供に考えていく役割を担っています。

今回、宣伝プロデュースを行うにあたって、特に意識したことはございますか?

本年、弊社の作品だけでも、「犬」が出てくる作品は、本作の前に2つありました。この「DOG×POLICE 純白の絆」も当然、警備犬と警察官の絆を描いた作品です。
が、「犬」に最初からフォーカスを当てすぎると、却ってこの作品の個性を引き立たせなくなると思い、まずは、スタイリッシュな「装備4係」のチーム感を全面に押し出し、その上で、警備犬との絆、警察官同志の絆を出してゆくことを心がけました。(豊田)

(C)2011「DOG×POLICE」FILM PARTNERS
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Q6. よろしければ、今まで手がけてきた作品を教えていただけますか?また本作にかける想いを教えてください。

やはり市原さんが出演した「虹の女神」、「トリック劇場版2」「私は貝になりたい」「映画ドラえもん」「レイトン教授」「イナズマイレブン」「カラフル」ほかパブリシティや、地方でかかわった作品は・・・膨大にあります。

市原さん、戸田さん、はじめキャストのみなさん、そして監督をはじめスタッフのみなさん大震災で、作品を撮り続けるのが困難になった状況を克服して完成させた、みなさんの想いがこの作品にはあるのだと思います。それを一人でも多くの人に届けるのが宣伝の仕事だと思っています。(豊田)

Q7. 映画を観る前に「これだけは知ってほしい」ということはありますか?映画作品の情報は、観る前はいろんなところから、断片的に入ってくると思いますが・・・。

うーん。断片的な情報でも構わないですし、それを元に一人ひとりが作品について、いろいろと期待したり、「わくわく」しながら作品に接してもらえたら良いかなと。(豊田)

Q8. 逆に、キャスト・スタッフの皆さんに、初日を迎え、「これだけは伝えたい!」ということがあればお願いします。

ありがとう!

今回の作品は本当に佐藤プロデューサーをはじめ、みなさんががんばって一緒に宣伝をして下さいました!(豊田)

Q9. 最後の質問の前に、ちょっと気になっていることがあるのですが、カンニング竹山さんが演じる西村孝巡査部長のよく食べていた、大きなケースに入った「プリッツウェル」は、設定としてなにかあるのでしょうか(笑)。アメリカでよくありますよね。

この回答は佐藤さんに譲ります。というかお願いしたいです!(豊田)

本作の七高監督はアメリカで映画を学び、アメリカ人感覚を強く持っています(笑)冒頭の爆破も七高監督のクレージーながら強い意志がなければ成立しなかったでしょう。竹山さん演じる西村はいわゆるデブキャラですが、そこで常に食べさせるものとして監督がプレッツエルを選びました。西村は二次元ヲタクで、警察ヲタクでもあるという設定です。なので卓上にはパトレイバーが飾ってあります。その流れでご指摘のようにアメリカの警察官が良く食べているプレッツエルをアメリカ好きの監督が選んだのではないかと思います(笑) (佐藤)

(C)2011「DOG×POLICE」FILM PARTNERS
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Q10. では、最後になりましたが、様々な警察についての映画作品がある中、その枠にとらわれない人間と犬のバディーの物語を大切にしている作品だと思いましたが、これから『D×P』 をみる観客の皆さんに、メッセージをお願いします。

この作品は、「絆」が大事なテーマのひとつです。その意味で、今の日本でまさにみなさんに見てほしい作品ではあります。

でも一方でこの作品は、そんなに堅苦しい事も考えずに楽しめる純粋なアクションエンタテインメントでもあります。映画館で、大迫力のシーンを楽しめることうけあいです。

是非、気軽に映画館に来て楽しんで帰って頂ければ!うれしいです。(豊田)

(以上)


【インタビュー回答】
佐藤貴博 氏(企画プロデュース)
東宝株式会社宣伝部 豊田幸弘 氏(宣伝プロデュース)

(文中敬称略)

※映画公開中に編集したものを掲載しております。


REVIEW

本作は試写を観てからインタビュー準備に入り、さらに初日舞台挨拶にも行ってきましたので、その模様もルポとして書かせていただきます。とにかく、CGでなく「アクション」にこだわった七高監督のコメントも印象的でした。
市原隼人さんといえば、とにかく「熱い!」が第一印象なんじゃないかという、ドラマや映画でのイメージですが、はたしてそれが映画の中でどう画として現れるか。それは観れば分かるのですが、「周りの仲間も熱い!」から、「なじんでいる」。いえ、むしろそれが「活き活きと現れて、伝わってくる」のだと思います。アクションムービーならではの派手な展開。でも爆破は本当のビルを爆破していて、普段映画で観てれば、「アタリマエ」に思えても、実際は「アタリマエ」ではない世界。それを、「警備犬」という存在がって、バディーとしてのパートナー意識。そして周りの仲間や上司との友情や関係性。すべてが成立して、豊田さんがおっしゃるとおり、「純粋なアクションエンタテインメント」でもある。なかなか近年映画観てますが、「市原隼人」という俳優の純粋さをここまでとらえて、前にきちんと出して「元気がでる」ムービーに仕上げているのは、さすがです。

初日舞台挨拶は、映画公開初日のTOHOシネマズ日劇で、拝見していますが、隼人くんの言葉を借りるなら「人生を生きてください。その中に映画があって、ドックポリスがあってほしい」と、今の日本を元気にしてくれるパワフルな発言どおり、会場も熱気にあふれていました。戸田恵梨香さんは「女性はどうしても、体力的にハンデがある。でも警備犬というバディーがいて、男性と対等になれる気がしました」と警察という社会に入っての女性としての意見。七高監督は、「とにかくCGを使わないことをにこだわった」と、リアリティーのある警察が立ち向かっていく世界をまざまざと見せ付けられた気分でした。時任三郎さんも、「(この映画が面白いと感じたら)周りの方に教えてあげてください!」と渋い声で、宣伝をされ、会場を沸かせていました。「シロ」も劇場で市原くんにべったりで、大きいのに愛らしいシロとの絆を感じたひとときでした。

今回、Twitterでもよくつぶやかれている「佐藤P」と、宣伝Pの豊田さんにお答えいただき、誌上インタビューとしては異例(?)のお二人の役割分担を明確にしての回答に、なかなか聞けないコメントを伺えた気がします。キャストやスタッフの皆さんに「ありがとう!」というこの一言につきるというコメントには、大変な撮影の中にも明るい現場だったんだろうなと思える何かを感じました。
ご回答ありがとうございました!!

(C)2011「DOG×POLICE」FILM PARTNERS
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【CAST/STAFF】

早川勇作:市原隼人、水野夏希:戸田恵梨香、向井寛:時任三郎、竹清悟:村上淳、
西村孝:カンニング竹山、永井孝介:阿部進之介

矢島健一、堀部圭亮、小林且弥、本田博太郎、相島一之、きたろう、若葉竜也、松重豊

原作:小森陽一(小説版『DOG×POLICE』集英社刊行予定)
監督:七髙剛

企画製作:日本テレビ放送網
制作プロダクション:ツインズジャパン

【2011年公開作品】

(C)2011「DOG×POLICE」FILM PARTNERS

※掲載当時の情報になります。