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<レビュー>気鋭の脚本家・遊川和彦が自らの脚本で映画監督デビュー/映画『恋妻家宮本』


その夫婦は、離婚届から始まった―。子供が巣立ったある日、夫は妻が隠していた離婚届を見つけてしまう。そこから始まる、可笑しくも愛おしい夫婦の物語とは―――。気鋭の脚本家・遊川和彦が、自らの脚本で映画監督デビューした映画『恋妻家宮本』の作品情報とレビューをお届けします。



© 2017『恋妻家宮本』製作委員会

若者の恋愛を描いた作品が巷に溢れる昨今。妻を愛し続ける愛妻家ではなく、妻に恋をする“恋妻家”という造語を作って大人の夫婦の物語を描いたのは、気鋭の脚本家・遊川和彦。

遊川作品と言えば、驚異の高視聴率を獲得した「家政婦のミタ」(11年)をはじめ、「女王の教室」(05年)、「○○妻」(15年)、「偽装の夫婦」(15年)、「はじめまして、愛しています。」(16年)等々。その遊川和彦が満を持して映画『恋妻家宮本』で、自らの脚本で映画監督デビューとなった。

物語は、様々な家族を描き続けてきた人気作家・重松清の「ファミレス」を原作に、遊川流の大胆な脚色を加えたもの。またしても斬新な視点で家族の物語を紡いだ遊川和彦の映画初監督作品には超豪華キャスト陣が集結。宮本家の夫・陽平を阿部寛、その妻・美代子を天海祐希。本作で初の夫婦役を演じる。

他にも、菅野美穂、相武紗季、工藤阿須加、早見あかり、奥貫薫、佐藤二朗、富司純子といった実力派俳優が脇を固める。そして、吉田拓郎の名曲「今日までそして明日から」が劇中歌としてだけではない特別な使い方をしているのも必見だ。

本作は、第40回モントリオール世界映画祭で新人監督作品がノミネートされる「First Films World Competition」部門に出品。2016年9月にモントリオールで開催されたワールドプレミアでは、コミカルなシーンでは大きな笑い声に包まれ、心温まるシーンではすすり泣く声が聞こえたという。

さらに、本作を鑑賞した重松清も「原作者というより、いまを生きる迷えるオヤジの一人として、本作を観て、たくさん笑って、最後にじんわりと泣きました」と絶賛のコメントを寄せている。


【STORY】

宮本陽平(阿部寛)と美代子(天海祐希)は、学生時代に合コンで知り合い、卒業と同時に、できちゃった婚。そして、ごく平穏な結婚生活27年を経て、子供の独立の時を迎えていた。夫と妻から、父親と母親という風に形を変えた夫婦生活。ところが、息子夫婦が福島へ転勤で旅立った日、久々27年振りの二人きりの生活に戸惑い、ふたりとも、ついつい飲みすぎてしまい、妻は飲みつぶれてしまう。そんな夜、陽平は、妻の記入欄がすべて書き込まれて捺印された離婚届を本棚で発見する。これまでの人生を、常に何が正しいかを考えながら生きてきた陽平。教師として学校でふれあう生徒とその家族、趣味で通う料理学校で垣間見るよその夫婦の姿、そこには、さまざまな夫婦そして家族の形がある。正しいことって、何だろうか。陽平の惑いは深まるばかり。そんな時、美代子が家を飛び出してしまう。美代子の真意とは…。そして、陽平の選んだ道とは…。


【REVIEW】

この映画を観ながら、恋愛や生活・仕事も含め、人生を通して「これ、あるな」と思ったことがあった。

例えば、言いたいことがあっても、言い出せないこと。怖くて聞けないこと。
たとえ口にしても、本当の意味や意図を伝える前で自分から言葉を引っ込めること。
もしくは言葉を遮られること。

そして、長い年月に積もってきた恋の気持ちがあっても、アクシデントや身の回りで起こる様々な出来事を通じて、恋する気持ちが変化したりすること。でもその変化は表面的なことかもしれない。恋の始まりのきっかけや、恋愛が結婚というものに繋がるきっかけの根底。それは、自分の内面的な趣向や相手・生活への想い・価値観にあるかもしれない。もちろん相手ありきなのかもしれないけれど。

ただ、「宮本さん」も言っている「やさしさ」ってすごく説得力がある。台詞というフレーズ・言葉だけで判断するのではなく、その話の展開や言葉の響きを感じ取って、表情を見て、悟ったり悟られたりするのではないだろうか。

長い夫婦生活を送ったことがないけれど、いろんな恋や夫婦のかたちを映画と空間にキュッと詰めた作品。好きな人と、ひとりだっていいから観てほしい!いろんな「ある!」がある。観終わった後に、原作のタイトルを見かえして「そうか」と腑に落ちる展開と胸にほっこりとくるラストは「観れてよかった」と思えるはず。

そして、「宮本さん、いい教師だよ~!」って言いたい。(最後まで言えました!笑)

(文・木下奈々子)



© 2017『恋妻家宮本』製作委員会

【作品情報】

出演:
阿部寛 天海祐希
菅野美穂 相武紗季 工藤阿須加 早見あかり
奥貫薫 佐藤二朗 /富司純子
入江甚儀 佐津川愛美 浦上晟周 紺野彩夏
豊嶋花 渡辺真起子 関戸将志 柳ゆり菜

監督・脚本:遊川和彦
原作:重松清「ファミレス」上下(角川文庫刊)
音楽:平井真美子

製作:
『恋妻家宮本』製作委員会

制作プロダクション:
ビデオプランニング

配給:
東宝

電通・東宝提携作品

公式サイト:
http://www.koisaika.jp/

【全国東宝系にて公開中】


© 2017『恋妻家宮本』製作委員会
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