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<レビュー> 原作:吉田修一×監督・脚本:李相日のタッグに音楽:坂本龍一が加わり挑んだ・映画『怒り』


世界を席巻した『悪人』タッグが再び!「愛した人は、殺人犯なのか?」 3人の人物を軸に、彼らを取り巻く環境と人間関係を丁寧に描き切ったヒューマンミステリー『怒り』。“信じる”とは?という根源的な問いかけの答えを探す本作。日本映画史に深く刻まれる傑作が誕生した。


(c)2016 TIFF
© 2016 TIFF / 第29回東京国際映画祭 Japan Now部門 上映後Q&A

家族や友人、ときに愛する人でさえ、簡単に疑ってしまう不信の時代に、“信じる”とは?という根源的な問いかけを一つの殺人事件をきっかけに投げかける感動のヒューマンミステリー、映画『怒り』

本当の悪人は誰か?人間の善悪に深く切り込んだ究極の人間ドラマに日本中が感動し、空前の大ヒットを記録した『悪人』(2010年)は日本アカデミー賞をはじめ、その年の国内の映画賞を受賞。海外でも、第34回モントリオール世界映画祭ワールドコンペティション部門で最優秀女優賞を受賞するなど高く評価された。

あの感動から6年―――原作:吉田修一×監督・脚本:李相日のタッグに音楽:坂本龍一が加わり挑む意欲作、映画『怒り』。現在開催中の第29回東京国際映画祭では、話題の邦画を選んだJapan Now部門で上映された。

本作では、日本を代表する7人の豪華俳優陣が集結した。主演に渡辺謙。そして森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、広瀬すず、宮﨑あおい、妻夫木聡というキャスト陣が魅せる迫真の演技が、「誰が殺人犯なのか?」と観客を巻き込んでいく

実は、「物語の登場人物には、映画『オーシャンズ11』のようなオールスターキャストを配してほしい」というのが、映画化に当たり原作者・吉田修一からの要望の一つだったという。

(c)2016 TIFF
© 2016 TIFF / 第29回東京国際映画祭 Japan Now部門 上映後Q&A

本作を観ていると、「殺人犯」の写真が警察から公開され、テレビ局の公開捜査番組でも放送されたとき、「3人」への身近な人の疑惑が芽生える。そして各々の場所で起こる出来事が観る者の心を搔きむしり、時に感動させる。どうしても自分を離れていく人が何を思っていたかが分からない。そのままで離れることの苦しさが胸を締め付けた。

怒り
© 2016映画「怒り」製作委員会

この作品に出演した俳優陣は役作りが大変だったことと思う。身近な人だからこそ、何を考えているか分からない。ましてや殺人犯役のキャストもその心理を描き切るのに相当な苦労があったことと思う。

作中で描かれる犯人の後ろ姿がどうしても「3人」に見える。公開された犯人写真もそうだ。どうして最後まで先が読めないのだろうと、私自身、不思議で仕方がないくらい、疑っていた。

ラストで見せるキャスト陣の迫真の演技を是非劇場で観てほしい。「3人」の取り巻く環境と物語がきちんと描かれている。本作は全国東宝系で上映中。


【STORY】

ある夏の暑い日に八王子で夫婦殺人事件が起こった。窓は閉め切られ、蒸し風呂状態の現場には、『怒』の血文字が残されていた。犯人は顔を整形し、全国に逃亡を続ける。その行方はいまだ知れず。事件から一年後。千葉と東京と沖縄に、素性の知れない3人の男が現れた。

千葉―――――――
3か月前に突然家出をした愛子(宮﨑あおい)が東京で見つかった。彼女は歌舞伎町の風俗店で働いていた。愛子を連れて帰った父・洋平(渡辺謙)は、千葉の漁港で働く。8年前に妻を亡くしてから、男手一つで娘を育ててきた。愛子は、2か月前から漁港で働きはじめた田代(松山ケンイチ)に出会った。

怒り
© 2016映画「怒り」製作委員会

東京―――――――
大手通信会社に勤める優馬(妻夫木聡)は、日中は仕事に忙殺され、夜はクラブで出会う男と一夜限りの関係を続けていた。彼には末期がんを患う余命わずかな母がいた。ある日、優馬は新宿で直人(綾野剛)に出会った。

怒り
© 2016映画「怒り」製作委員会

沖縄――――――
また男と問題を起こした母と、夜逃げ同然でこの離島に移り住んできた高校生の泉(広瀬すず)。ある日、無人島でバックパッカーの田中(森山未來)に遭遇した。

怒り
© 2016映画「怒り」製作委員会

殺人犯を追う警察は、新たな手配写真を公開した。その顔は、出会った男に似ていた。

いつしか交際を始めた愛子と田代。二人の幸せを願う洋平であったが、前歴不詳の田代の過去を信用できず苦悩する。

同居を始め、互いの関係が深くなっていく優馬と直人。しかし直人の日中の不審な行動に優馬は疑いを抱く。

ある事件をきっかけに心を閉ざしたと、彼女を救えなかったことに苦悶する同級生の辰哉。親身に支える田中であったが、無人島で暮らす彼の素性を誰も知らない。

愛した人は、殺人犯だったのか?それでも、あなたを信じたい。そう願う私に信じたくない結末が突きつけられる―――。

怒り
© 2016映画「怒り」製作委員会

【作品情報】

出演:
渡辺謙 森山未來 松山ケンイチ 綾野剛
広瀬すず 佐久本宝 ピエール瀧 三浦貴大 高畑充希 原日出子 池脇千鶴
宮﨑あおい 妻夫木聡

原作:
吉田修一(「怒り」中央公論新社刊 )

監督・脚本:李 相日

音楽:坂本龍一

主題曲:
坂本龍一 feat. 2CELLOS

製作:市川南

共同製作:
中村理一郎 弓矢政法 川村龍夫 髙橋誠 松田陽三 吉村治 吉川英作 水野道訓 荒波修 井戸義郎

エグゼクティブ・プロデューサー:山内章弘
企画・プロデュース:川村元気
プロデューサー:臼井真之介

ラインプロデューサー:鈴木嘉弘
プロダクション統括:佐藤毅
撮影:笠松則通
照明:中村裕樹
録音:白取貢
美術:都築雄二 坂原文子
編集:今井剛
衣裳デザイン:小川久美子
ヘアメイク:豊川京子
サウンドエフェクト:北田雅也
スクリプター:杉本友美
キャスティング:田端利江
助監督:竹田正明
音楽プロデューサー:杉田寿宏

製作:「怒り」製作委員会

製作プロダクション:東宝映画

制作協力:ドラゴンフライ

配給:東宝

公式サイト :http://www.ikari-movie.com/

【全国東宝系にて上映中】

怒り


© 2016映画「怒り」製作委員会
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