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<レビュー>半野喜弘監督デビュー作/青木崇高×大野いと 出演映画『雨にゆれる女』・第29回東京国際映画祭 アジアの未来部門で上映


映画界の名匠たちを魅了してきた音楽家・半野喜弘渾身の監督デビュー作、青木崇高×大野いと 出演映画『雨にゆれる女』が第29回東京国際映画祭・アジアの未来部門にて上映された。


雨にゆれる女
© Nanako Kinoshita

パリを拠点に、映画音楽からエレクトロニックミュージックまで幅広く世界で活躍する音楽家・半野喜弘が監督デビューした。半野喜弘は、その豊かな音楽によって、これまでホウ・シャオシェン、ジャ・ジャンクーなど世界の名匠たちを魅了してきたという。

半野監督にとっては、音楽と映画は「表裏一体」だという。人間そのものや物語をより深く描くにあたり、自然と映画に挑戦しようと思うに至ったと語る。

濃厚な色彩、優美な旋律、登場人物の息づかいなどの、独自のセンスで現代の日本映画には稀な質感の映像を作り上げ、監督デビューに至った。作品の成り立ちは、2002年、パリ4区。まだ俳優になる前の青木崇高が、旅行中にカフェで偶然見つけた日本人・半野喜弘に声をかけて意気投合したという。そして10年後、ふたりは東京で運命の再会を果たし、『雨にゆれる女』の誕生に至った。

雨にゆれる女
©『雨にゆれる女』members

そして、初の長編単独主演作となる本作で、青木は別人として孤独に生きる主人公を繊細な演技を見せた。『るろうに剣心』三部作などで知られる豪快なイメージとはかけ離れた、今まで見たことのない顔を見せている。ヒロインに、幅広く活躍中の若手女優、大野いと。東京国際映画祭の華やかな場で半野監督・青木崇高・大野いとがレッドカーペットに登場した。

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© Nanako Kinoshita

会期中の上映では、海外のアート映画を思わせる導入と響く音楽、青木崇高の骨太な演技が光った。本名を隠して、ある1日が訪れるのを待つかのようにひっそりと暮らす青木崇高演じる“飯田健次”という別人を名乗る男。外界との接触を嫌う飯田は、同僚に振り回されるようになるが、大野いと演じる女と出会い、奇妙な生活を送る中で、隠れていた「人間味」が表に現れるようになっていく。

彼らを取り巻く因縁が、二人の運命に、狂おしく、そして切なく変化をもたらしていく様は、青木崇高の演技力で成立しているように思えた。

ともすると数奇な運命がフィクションと思えがちだが、映画の中でそれぞれが背負う過去を自らのものと理解しているかのように演じるキャスト陣の熱演で、観客がその世界観に入ることを容易にしているように感じられる。一度、この半野ワールドに浸ってみてはと思う。

本作はテアトル新宿で11月29日(土)からレイトロードショーを予定。


【STORY】

本名を隠し、“飯田健次”という別人としてひっそりと暮らす男。人との関わりを拒む彼の過去を知る者は、誰もいない。ある夜、突然同僚が家にやってきて、無理やり健次に女を預ける。謎の女の登場で、健次の生活が狂いはじめる。なぜ、女は健次の前に現れたのか。そして、なぜ、健次は別人を演じているのか。お互いに本当の姿を明かさないまま、次第に惹かれ合っていくふたり。
しかし、隠された過去が明らかになるとき、哀しい運命の皮肉がふたりを待ち受けていた――。


【作品情報】

脚本・編集・音楽・監督:半野喜弘

出演:
青木崇高 大野いと
岡山天音 / 水澤紳吾 伊藤佳範 中野順二 杉田吉平 吉本想一郎
河野宏明 原田裕章 上田辰也 遊屋慎太郎 山田紗椰 森尾寧仁 鶴町梨紗
森岡龍 地曵豪 / 十貫寺梅軒

プロデューサー:松田広子 / 撮影監督:山田達也 / 録音・整音・フォーリー:今村寿志
美術・衣裳:宮本茉莉 / ヘア・メイク:有路涼子 / 監督補:押田興将 / 制作担当:安田憲邦
助監督:玉澤恭平 宮瀬佐知子 成良恭平 / 撮影助手:高嶋正人 星野洋行 / 照明助手:迫田遼亮
録音助手:門口知広 / 衣裳助手:高橋和香菜 中村公美 / 美術助手:浜崎初菜 / ヘア・メイク助手:竹下涼 / スチール:藪下雷太

企画・製作プロダクション:オフィス・シロウズ

配給:ビターズ・エンド

http://www.bitters.co.jp/ameyure/

2016年 / 日本 / カラー / 1:1.85 / 5.1ch / 83分

©『雨にゆれる女』members
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