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第29回東京国際映画祭「観客賞」は映画『ダイ・ビューティフル』(原題:Die Beautiful)に決定


第29回東京国際映画祭は本日(11月3日)最終日を迎え、午前中のプログラムで同映画祭のコンペティション部門出品作品から観客の人気投票で決定される「観客賞授賞式」が開催された。TOHOシネマズ六本木ヒルズで10月25日から開催された本映画祭だが、数々の部門の中でも国際色豊かなラインナップのコンペティション部門で、1位の座を手に入れたのは、映画『ダイ・ビューティフル』(原題:Die Beautiful)であった。


(c)The IdeaFirst Company Octobertrain Films
© The IdeaFirst Company Octobertrain Films

本作はフィリピン発の映画作品で、監督のジュン・ロブレス・ラナ(Director: Jun Robles Lana)は受賞にあたり、「観客賞を受賞させて頂き、ありがとうございます。東京国際映画祭のコンペティション部門に選出されたことを聞いた時は、驚くと同時に緊張しました。この映画がフィリピンの観客にどう受け入れられるか分からなかったからです。ましてや日本では分かりませんでした」と驚きながらも「光栄です」とコメントした。日本でのコンペティションで評価されたことに対して「映画の力を信じるに至った」「人種・言語・肌の色に関係なく映画は1つのものに結束させる」と述べ、係った人々への感謝の気持ちを語った

© Nanako Kinoshita
© Nanako Kinoshita

ジュン・ロブレス・ラナ監督らには、表彰状やトロフィー、1万ドル、花束の他に港区ならではの「半被」が手渡された。授賞式にあたり、港区の武井雅昭区長は、同映画祭などの文化・芸術振興について、より一層の支援していく体制づくりや、2020年のオリンピック・パラリンピックに向けて、国際的多様な港区の文化・スポーツ振興の体制強化について意気込みを語った。

同じく、東京国際映画祭・みなと委員会の須永達雄委員長は、街を挙げて東京国際映画祭の支援のため、会期中土曜日にクラシックの名作を上映(TOHOシネマズ六本木ヒルズにて)するほか、日曜日にアニメ上映会(区内の大学にて)を実施したという。そして、LOGO/街頭フラッグの設置、海外のゲストを迎えるにあたり、街の景観をよくするための「港クリーンアップ」を行ったことを発表した。

さて、今年13回目となった「観客賞」だが、受賞した作品『ダイ・ビューティフル』は美女コンテストで優勝したトランスジェンダーの「トリシャ」が突然死をしてしまい、埋葬前に行われる儀式で毎回違うセレブの装いをまとうことを望んでいた「トリシャ」の友人たちと、男として埋葬したい父親とのかかわりを描いた作品だ。苦境をはねのける明るさ、生への肯定に満ちた人物像をラナ監督が描き出したという。

© Nanako Kinoshita
© Nanako Kinoshita

東京国際映画祭は本日11月3日で閉幕する。午後に開催されるEXシアター六本木でのクロージングセレモニーでは、コンペティション部門を始めとする各賞の受賞発表、各賞トロフィー授与、ARIGATŌ(ありがとう)賞、SAMURAI(サムライ)賞の各賞の授賞式が行われる。(授賞式撮影・文: 木下奈々子)


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